『節税が会社に与える影響について』

…税金を気にせずに思い切って利益を出せる環境を整えましょう。

 創業から順調に成長する企業と、途中で行き詰まってしまう企業の違いは、営業力にあることは間違いありません。そもそも売上を立てられなければ企業は存続しないからです。ただ、営業力があっても行き詰まってしまう企業も多くあります。要因は財務力(資金調達力)の弱さにあります。

 営業力があり、業績が軌道に乗り始めた創業者様を悩ますのが税金です。利益とキャッシュが連動しない取引条件で営業をしている企業の場合、利益を上げれば上げるほど、手元キャッシュでは払えない額の法人税が発生します。「事業を軌道に乗せるためにがむしゃらに頑張ってきた結果、ゴール(決算)の手前で多額の税金が発生することに気付く。しかし、手元に税金を払えるだけの資金がない。」というパターンです。

 このような状況のとき、相談するのはたいてい周りの先輩経営者です。返ってくる回答は、「税金なんかまともに払っている人はいないよ。上手に節税しないとダメだよ。」といった主旨のものが多いようです。順調に成長する企業とそうでない企業の運命の分かれ道は、この節税の意味をしっかりと教えてくれる方が周りにいるかどうかです。

 税金が払えない、もしくは払いたくないために節税をして利益を減らす行為は、自ら資金調達の可能性を閉ざすことになります。業績は順調に推移することもあれば下降することもあります。節税をすることで、「業績が下降した時に資金調達が上手くいかない。資金が不足するため事業を縮小せざるを得ない。縮小することでさらに利益が上がらなくなってしまう。」という負のスパイラルに陥ってしまいます。

 創業して3年以内に7割の企業が廃業するとも言われていますが、売上を上げるという第1の関門をクリアしたにも関わらず、節税をしたために資金調達ができず、最後は資金に詰まって存続を諦めてしまう企業も相当数あると感じています。

 弊所では、創業者に限らず、資金調達を常日頃から行い、利益を思い切って出すことを提案しています。先日も、お付き合いを始めたばかりのお客様から、「(利益が出ている)決算書を銀行に渡したら、去年までは2,000万円借りるのがやっとだったのに、すぐに8,000万円の提案を持ってきました。決算書でこんなに違うんですね。」とおっしゃっていました。

 利益を減らして少ない手元資金で経営をするのか、もしくは、利益を出して8,000万円の資金調達を行って経営をするのか。本当に大きな違いです。

2017年06月01日