攻めの財務戦略

 本日は、中小企業が取るべき「攻めの財務戦略」について考えてみます。

 「財務戦略」とは、「資金の調達と運用」を「戦略的」に行うことを言います。簡単にいうと、一番効率良く資金を増やすためには、いつ・どこから資金を借りて、どこに資金を費やせば良いかを検討することです。

 中小企業こそ、攻めの財務戦略が必要です。資金ニーズが発生してから資金調達を考えるのではなく、資金ニーズが発生することを予測して、もしくは資金ニーズを自ら作り出して、資金調達を積極的に行うことが「攻めの財務戦略」です。

■そもそも財務戦略が無い場合…
・月末の支払いが出来ないことが直前にならないと分かりません。
・「機械が壊れる」等の突発的な支出の対応に苦慮します。
・余裕資金が無いため、急なビジネスチャンスに対応できません。
行き当たりばったりの経営で有事への対応力が弱く、安定した経営が難しい状況です。また、投資に対する効果という概念がないため、結果的に無駄遣いが多くなってしまいます。

■保守的な財務戦略の場合…
・「新しいことは何もしない」という硬直化した企業体質に陥ってしまいます。
・自社の事業の投資効果が薄れていても、気づかないまま事業を継続してしまいます。
・視野が狭くなり新しいビジネスチャンスを見逃してしまいます。
比較的財務内容が良い中小企業でも、近年、10年安泰な事業はそれ程多くはありません。一定のリスクを冒して攻めなければ、成長することはもちろん、生き残ることすら難しい時代です。

■攻めの財務戦略の場合…
・資金調達を積極的に行い、キャッシュポジションを常に高く維持しています。
・資金繰りが安定し、落ち着いて経営が出来ます。
・ビジネスチャンスがあれば、スピーディに対応できます。
・機械の買い替えなど、投資計画を立てることにより計画的に資金を調達できます。
・自社の事業モデルの進化発展を、常に考えるようになります。
しっかりと計画を立て、先回りをして資金調達に動きます。
資金に余裕を持つことで経営の選択肢が広がります。

 大企業でさえ、成長分野を探して資金を投下し、事業モデルを変化させながら生き残りを図っています。10年安泰な事業をお持ちで無いならば、攻めの財務戦略が必要ではないでしょうか。

2016年08月24日